レイキャビクの街中で悪魔と出逢った?8月の週末ミニ・フェス・レポート

  2015年8月にアイスランドに滞在したのは正確には7月31日から9泊。これが短いか長いかは人によって感じ方に差があることでしょう。レイキャビクは仕事場でもあり、半日常になっているので、私の滞在期間としては短いけれど、普通の旅行者だと長い、になりますね。
 その短い滞在の中でこのブログでレポートしたい事柄が3つあるので、順にご紹介していきましょう。
 まず7月31日にアイスランドに到着した直後に知ったのが、Innipukinnという週末ミニ・フェス。それに関しては8月のブログにチラっと書いていましたね。
 Innipukinn(インニプキン)とは、英語にすればInside Devilで、これには二重の意味があるそうです。ひとつは、もちろん自分の内面の悪魔。もうひとつは、この週末はMerchants Weekend(商人の週末)と呼ばれる休日で、どこぞの島で大規模屋外フェスがあったり、サマーハウスへ行ったりする人が多く、そんな週末でもレイキャビクの街中に残る悪魔達という意味もあるそう。
 金、土、日の3日間に30組近い人気アーティストが出演することもあり、ちょっとばかりお高いチケット代にもめげずソールド・アウト。会場はHurra(フッラ)とGaukurinn(ゴイクリン)で、この2会場は隣同志であり、移動時間30秒!
 そして、会場へ行ってみると、驚いた!ライブ小屋のある一角を通行止めにして、通りには芝が敷いてある。それも人工芝ではなく、本物の芝生!アスファルトの上に本物の芝を敷けるのね。知らなかった。
 こんな感じで、芝ストリートとなったここはフリーマーケットもあったり、ピクニック・テーブルもあったりで、ちょっぴり屋外サマー・フェス気分。
 値段は少し高めだけど、しっかりとおいしいロブスター屋も出ていてよかった。もちろんビールもバーガー等の出店もありました。
 ここから3日間で見たアーティストをザザっと出しますね。まずはVaginaboys。白塗りの顔を見て横溝正史を思った私は日本人ですね。ずっと「八つ墓村」を頭の中にひきずったまま、ゆるくて結構気持ちがいいエレクトロ・ヒップホップを聞いた。
 次がいつ聞いても爽やかなハーモニーのYlja。お馴染みの曲あり、新譜からの作品は情熱的な感じでとってもよかった。そして、おや、ベースが元ロウクロウで今はブギー・トラブルを中心にやってるインギビヨルグですね。この後、他のバンドで毎日彼女の姿を見ました。
 こちらは現在大人気のAmabadamaとJFMの共演ヴァージョン。なぜこんな組み合わせなのか?と考えてみたところ、現在Amabadamaは絶頂人気で、あちこちでライブをやってる。それはいいけど、アイスランドは狭いし、いつも同じメンツだと飽きられるので、共演してもおかしくない人気、話題、またはステータスのあるアーティストということで、選ばれた気配。

 続いて彼らのことを見守り続けてかれこれ10年。みんな大人になったもんだわぁと、母親の如く見てしまったのがRetro Stefson。一時期のはっちぇけた感じよりも落ち着いて大人っぽく成ったかな。相変わらず楽しいステージングだった。
 4月に来日してくれたSin FangとSoley。両方またライブに出会すとは思わず、うれしい驚き。Sin Fangはドラムス2本でダイナミックな音でした。基本的には日本のライブと同じ。
 Soleyも基本的には来日時と同じセットだけど、ギターが入った分、音に広がりがあってよかった。特にお客さんがうるさい会場ではないとはいえ、日本のようにシーンと静まりかえることもないので、私はもっとしっかり静かに聞きたかったなぁ、というのが正直な感想。ライブ後に、ソーレイとキャルタン(ドラムス)に外で会った。
 2013年の若手バンド・コンテスト(Musiktilraunir)で優勝し、その年のアイスランド・エアウエイブスで大注目を浴びて以来、快進撃を続けているVOK。ドラムスも入り、がっちりとビートを刻む中、マルグレットが渾身のヴォーカルを聞かせていたのが印象的。他の2人もそれぞれに成長したようで、扱う楽器数が増えてた。聴きどころの多いライブなので、今年もアイスランド・エアウエイブスでいいライブを見せてくれること間違いなさそう。
 2014年11月の来日時によく顔を合わせたOyamaのBergurが出て来たので、「あれ?確かOyamaは出演予定なかったはず」と不思議に思ったら、Oyamaではない顔が次々と揃い、Sudden Weather Changeであることが判明。すると続いて「でも、Sudden Weather Changeは解散したんじゃなかったっけ?」ということも。私の記憶違いかな?復活第一弾?
 これがすごくいいギター・バンドで、今まで彼らのライブを見なかったことを激しく後悔。そうか、それなら今度から絶対に見るようにしよう!と思った。そして、てっきり復活ライブなのかと思ったら、後日聞いた話では、メンバーのスケジュールが合わなくなり、自然停止のようになってしまい、正式に何もやっていなかったので、今回のライブが正式なお別れライブだったそう(涙)。
 聞いても意味がわかんないから、忙しい時(つまりはアイスランド・エアウエイブスでは)滅多に聞かないアイスランド語ラップ。2会場しかないこんな時だからこそと思い、冒険してみたのがヒップ・ホップ、ラップのGisli Palmi。印象に残ったのは、サウンドはレトロ・ステフソンのウンヌステインがやっていて、もうひとりバックについてた白いTシャツの男性が、時々観客を煽る以外はビールを飲んだり、iPhoneをチェックしたりすることしかせず、なんかそれが気になった(笑)。
 ラッパーのGisliは普通にかっこよかったし、観客の煽りも上手。お決まりなのか、最後は上半身裸で、腹筋の見事な6パックを見せていた。やっぱりカッコイイもエンタメのうちってところかな。アイスランド語はチンプンカンプンだけど、これも楽しいギグだった。
 ステージにいったい何人いたのやら?という大所帯で責めてきたのは、話題のTeitur Magnusson。ミュージシャン仲間に人気のレゲエ・グループOjba Rastaのヴォーカルのソロ・プロジェクトだ。南国風のようなゆるいノリで、暖かな声の響きでも和ませてくれる。ハモリの女性ヴォーカルを担当するのは、Yljaの演奏にも加わっていたインギビヨルグ。
 ゆるい、ゆるいと言いつつ、バックには管楽器もキーボードもあれもこれも人が大勢いて(すいません、現場で人数を数えたんですが、覚えてません)、ゆるいながらもしっかりと厚みのある音がうれしかった。ゴージャス感あり。

 あとから知ったのは、彼ひとりがアコギでやることもあれば、こういった大人数でやることも。どちらにしてもこの日は豪華ヴァージョンだったようだ。彼のソロ・アルバム『Tuttugu og Sjo』も評判がいいので、ライブを見に行く人はぜひ予習を。
 フェスの最終日の最後に見たのは、Diktaだった。デビュー当初から知ってるお馴染みのグループだけど、考えてみればここ4-5年彼らのライブを見てなかったかも。リード・ヴォーカル、ホイクルの美声が売りで、相変わらず少しハスキーで、それでいて高音がしっかり伸びるヴォーカルがよかったし、このバンドのギター、私は案外好きだなぁ。安心のクオリティでした。
 時間帯やグループによって会場の混み具合はまちまちだったとはいえ、だいたいこんな風に、いい感じで人が埋まっていた。2会場の足周りもいいし、アーティストの選択もとてもよかったし、アイスランドに到着した当日から3日間、たっぷりと楽しませてもらいました。ラッキー、ありがとう!
 そして夜中12時頃に外に出るとまだまだ薄明かりがあり、これからまだライブを見たり、飲み歩いたりという雰囲気。私は「自分の中の悪魔」を発揮せず、品行方正に帰宅しましたけどね。
 ぶらぶら歩きをしながら、ふと思いたってチョルトニン湖まで足を伸ばしてみた。湖畔に立っていても寒くないし、気持ちがいいくらい。8月初旬だけど、これがアイスランドの短い秋なんだよなぁ。

 次回はIce Caveのツアーのレポートかな。(小倉悠加/ Yuka Ogura)

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