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アイスランド・エアウエイブス2016(4)大人なフェス、ベッドルーム・コミュニティ10周年記念大コンサート&お気に入りアーティストの濃縮日、ライヴ付きヨガも!

 前回はアイスランド・エアウエイブス・フェス一日目後半でした。なので当然今回は二日目になります。
 まずは業界向けブランチがあったので、食費圧縮と関係者との顔見せついでに出向いたけれど、朝早く起きれなくて、かなり食糧がなくなってから、お茶だけしにいった感じになってしまいました。それでも私は少しつまめたけど。

 会場はハルパ。そこからNordic Playlistのライブストリーミングもやっていて、Glowei(グロゥイー)がソウルフルな歌声を聞かせてました。三つ編みがきれいで、音楽のことより「それって地毛で編んでるの?」という方が気になった私。なんかとってもオーラのある女性で、気がひけて(?)声をかけられなかった私。

Gloweiのライブ・ストリーミング

 その後はお決まりコースでいろいろなオフ会場めぐり。ホント、なるべく既に何年も見ている知り合いアーティストは避けて、新人やこれまで縁が無かった人を見に行こうとするんだけど、でもでも、人情というもので、どーしても知り合いとか、自分が好きな音楽に偏るのは、どーしょーもないこと。

 それから、なぜかひょんな人からフェス期間中にメッセージが飛び込むこともあり、必ずそういうのは「今ちょうどレイキャヴィクに居るので会えないか?」というもの。ほとんどの場合お断りしますが(そんな悠長な時間がない)、よく知る人から「私のとても大切な友達だから」との紹介付きで来ると無下に断ることもできず、とりあえず出来る範囲で誠意を示します。

 そういう理由で向かったのがThe Anatomy of Frank. なんでもArstidirが北米をツアーして回った仲だそうで、Arstidirから「ぜひ会ってあげて!」と言われては無視できず。とりあえずフェス中に会って話すのは無理だけど、オフ会場で2-3曲見る程度ならできるからと、リーダーのカイルに挨拶して、数曲見てきました。
 アルスティディルとツアーしたというので、大人しめのネオフォークから思いきや、かなりダイナミックな音を出す場面もあり、ハーモニーが美しいということでは共通点で、グループとしての個性もあり、3人組みとは思えない厚みの音で楽しく聞かせてもらいました。カイルとはフェス後に会って話した。要は日本ツアーやりたいんだけど、というお決まりの話。

 そして向かったのはロウクロウが休止中にソロ活動を始めたHildurのソロ。最後の一曲でどうにか滑り込みセーフ。それにしてもオフ会場、どこも混んでるなぁ。強引に前まで進んで行ったけど、メイン会場のみならずオフ会場も並ばなくては入れないようなフェスになってしまったのね。フェスが成長していくのはうれしいけど、ちょっと混みすぎの印象。
 ヒルドゥルは持ち味の伸びやかな高音と歯切れの良い歌声で見た目ヒップホップで音はポップ。私が居ない間、ヒップホップ調の曲もあったのかな。「久しぶりね〜」と挨拶できたからよかった。

 足早に会場を移し、なかなか見る機会を作れなかったDream Wifeへ。ヴォーカルのラッケルとは会場で顔を合わせたりしていたけれど、肝心の彼女のパフォーマンスを私はSykur以来見たことがなく(ってどんだけ前なんだ!)念願のライブ。
 二日酔いという割には元気で、パキパキしていて、健康的なセクシーで、ラッケルは音声アクロバットという意味での歌唱力ではなく、とても雰囲気のあるヴォーカルで、彼女の存在自体がものすごくカリスマチック。芸能一家の出身で、祖母はアイスランドの大女優で、おじさんが今や世界中の美術館からお呼びがかかる大芸術家(以前はロック・ヴォーカリスト)。周囲を固めるギター陣も女性で、しっかりとポップ・パンクしていて私は好き立ったなぁ。エネルギーに溢れた好パフォーマンス。

2018年フジ・ロック出場を果たしたDream Wife.

 同じ会場で彼女たちの後にはArstidirも出ていました。現在正式メンバーは3人だけど、アイスランド・エアウエイブスはみんな気張ってゴージャスにやります。助っ人メンバーも参加のヴァージョン。

 ここ数年じっくり見ていなかったので、Svavar Knunturのライブへ。私のツアー・グループが宿泊しているホテルの地下は、ヴァイキング居住地跡をそのまま残した歴史博物館になっていて、そこの視聴覚ルームでのアコースティック(アンプラグド)ライブ。
 安定の楽しく心暖まるパフォーマンスで、いつ見てもいいなぁ。「音楽に真摯に耳を傾けてもらえる会場で、そういうお客さんにしか演奏したくない」ということで、ずっと前からメイン会場には出なくなったアーティストです。超お勧め。

いつ聴いても心暖まるスヴァヴァル


 今回のアイスランド・エアウエイブス、オフ会場の予定を見ていたら、Popupc Punk Yoga with Tofaというのがある。どんなものか好奇心で見に行くと、やってました。ヨガだわぁ。Tofaというパンク・バンドが演奏するというので、パンクとヨガがどうマッチするのか不思議に思っていたら、確かにTofaのメンバーが演奏しているけど、完全にドローン・アンビエント。インストラクターがヴォーカリストの米国人女性。ということでインストラクションが英語!
 最初は見てたんだけど、どうやら前の方にひとつマットが余っていたので、靴下を脱いでヨガに参加。やりましたよ、ダウンドッグ。こんなところでヨガると思わなかった(笑)。

 なかなかいけるドローンでヨガをして、思いがけずスッキリ。夕食を食べて、さて、メイン会場へ繰り出します。まずはベッドルーム・コミュニティ創設10周年記念「ホエール・ウォッチング」コンサート。ハルパの大会場を使っての、フル・オーケストラ&大合唱団付きの豪華なライブ。ビョークと10年間コラボレーションをしていたヴァルゲイルを筆頭に、現代音楽作曲家として引っ張りだこのニコ・ミュリー、ダーク・アンビエント・ノイズの大家であるベン・フロスト、の3名の創始者を筆頭に、パズル・ミュートソン、サム・アミドン、ダニエル・ビャルナソン、ジョディ・ランドウ、エミリー・ホールと所属アーティスト総出。

豪華すぎて言葉にならなかった

 途中休憩をはさんだ2時間のコンサートで、ベッドルームの世界を堪能。それにしても、現代音楽からノイズ、カントリーまで、どーやってこういう取り合わせになるのか?という不思議さはレーベル創立以来のことで、でもそれがまた個性となって面白いのもベッドルームのいいところ。音楽性と士気の高さ、洗練されているのに非常に奇抜なものもあり、10年経っても飽きさせないレーベルです。
 正直なところ、これ以降毎日のようにハルパのこの大会場に2時間入り浸ることになり、ものすごく悩んだことは確かです。というのも、小さめのメイン会場を回れば3-5バンド見る事が可能なので、3日間2時間ハルパの大会場で時間を過ごすことにより、10バンドくらい見られない勘定になるのです。だから10周年記念じゃなかったら飛ばしてたと思う。

 バンド数をこなすのではなく、じっくりゆっくりと音楽を鑑賞し、その上であれもこれもと積み上げていく感じが、この年以降の私のフェスの楽しみ方なのかな、と。でもその間に10アーティストも見られないとなると、やっぱり悩むんですよね。要は自分が何をどうしたいのかなんだけど。

 ゴージャスなベッドルームの10周年の後は、同じハルパ会場内で場所を移します。まずは日本でもお馴染みのOyama

 そしてこちらは元セックス・ピストルズであり、パンク・ゴッドであるジョニー・ロットン。演奏じゃなくてポエトリー・リーディング。

 Ljodfaeriは親子ユニット。父親がポエトリーを詠み、そこに息子がアンビエントな音を奏でるというもの。アイスランド語は理解できないものの、これは音がとてもよかった。

Asta Fanneyは不思議なユニットで、どうやら即興の謡だったらしく、それでもかなり様になっていたのはアスタの実力かな。横に何気なくヨフリヅルが出て来て、ハワイアンでもないし、ただただ手で波を描いて無表情で踊り続けていたのが印象的だった。ものすごく身体の線が目立つ洋服を着たヨフリヅルは、まるで人魚姫のようできれいだった。

 ちなみにAstaは2016年に覆面グループとして話題になっていたaYiaのヴォーカリストでもあります。覆面といっても、顔は出してるので、知っていれば誰かわかっちゃう。

 次に登場したのはTonik Ensemble。アンサンブルといっても基本はソロ・プロジェクト。この日はハレのアイスランド・エアウエイブスなので、ゲストヴォーカリストやミュージシャンも参加!ビジュアルも凝っていて、いい雰囲気でした。エレクトロ・アンビエントが好きな人にお勧め。 今年のシバノ・ジョシアさんの展示会のバックグラウンドミュージックにもなっています。

 ここまででシンデレラは時間切れ。それでも少しだけと、帰宅途中ガムラ・ビオに寄り、ニュー・アルバム『』をリリースしたばかりのSin Fangを。

 ベッドルームで2時間費やしたとはいえ、それでも10組みほど見たでしょうか。本当に音楽を聴きたかったものあれば、知り合いなので「応援してるよ!」というのを示したかったものも。ヨガは好奇心だったとはいえ、音楽がよくなければ長居もしなかったし・・・。やはりどこをどう切ってもとても楽しい一日でした。座っていられるライブが多かったから、随分と楽だったし、長い列で待たされるということもなく(近年、プレスパス持っていても「整列」する場面に多々出会ってます)、二日目も充実でよかったよかった。(次回に続く)(小倉悠加/ Yuka Ogura)

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