年に一度!総人口以上のシュークリームを消費のアイスランドBolludagur

アイスランドの冬は室内のイベントが続く。食関係のことも多く、クリームが詰まったボール型のお菓子がたらふく食べられるのが2020年は2月24日月曜日のBalludagur(ボッルダグル)!

 英語ではBun Dayと訳されているけれど、日本人的には多分シュークリームの日が一番馴染みやすいかと。ただしボール型のお菓子であればとりあえずは何でもいいようで、ドーナッツのような生地での提供もあるため、クリーム・パフの日と言う人も。

中身はクリームとジャム。日本人はパフと言う言葉にあまり馴染みがなく、下手すると化粧品のパフを思い浮かべる人が出そうなので、私はシュークリームの日と勝手に定めることにする。

実際スーパーやパン屋等を覗いたところ、比率的にシュー地が多かった。シュー地はアイスランド語でvatnsdeig。直訳すれば水タネ。軽めのドーナッツのようなパン生地はsmjordeigなのでバタータネ。何せ大量に食べるため、私は軽いシュー地の方が有り難い。

本来のBalludagurは月曜日(2020年は2月24日)だが、土日の方が家族が揃むタイミングでもあることから、週末からほぼ開始される。なのでこれをballuhelgi(シュークリーム週末)と呼ぶ人も。

 私も週末から開始して、あちこちでこのお菓子をゲットした。場所は高級ベーカリーであるSandholt、Brauð & Co.と、少しカジュアルなBrikk。そしてファミリー・パーティの4ヶ所で頂いた。ファミリー・パーティは除き、上記の私が購入したところは一個500isk前後なので、贅沢品(どーせ食べるなら美味しい方がいいでしょ?!)。

スーパーで買えば一個300isk程度で済むし、焼いてある生地だけであれば(ジャムとクリームは自分で用意)もっと安い。

感想は全部美味しかったに尽きるけれど、とりあえずご紹介。

Brikk (地図
Brikkは2017年6月にオープンし、現在は二店舗目がレイキャビク市内にできた話題のニューウエーブベーカリー&カフェ。数種類あった中から選んだのはホワイト・ロシアンというカクテル名のついたものと、名前がわからないけれど、上にM&Msのようなマーブルチョコが乗っていて、中身もチョコの粒が入ってたクリームのやつ。少し持ったりもっちりしてるクリームなので、生クリームとバター等を混ぜ合わせたかな。

左がロシアン・ホワイト、右がチョコ入り

Sandholt地図
高級ベーカリーの代表格サンドホルト。ケーキもとても美味しい。クリームパフが不味かろうはずがなく、二個をゲット。味はバニラクリーム&ソルトとコーヒークリーム&ジャム(オレンジマーマレード)。バニラの方はミルクキャラメルがシューの上にあり、コーヒーの方はダークチョコレート。しっかりしたクリームで、美味しさも腹持ちもどちらも双璧。多分この店もバターと生クリームの混合かな。

トッピングもたっぷり。老舗の貫禄!

中にはぎっしりとクリームが!

Brauð & Co.地図
2016年2月のオープン以来、またたく間に話題となり、現在では7店舗と勢いが止まらない振興ベーカリー。ここは全種類欲しかったものの、売り切れが続出で、ゲットできたのはクラシック、ヌガー&バニラクリーム、キャラメル、オムノム・チョコ入りの4種類。最後だけクロワッサン生地で、後はシュー。値段は一個550isk。500円程度。

売り出された一覧表

この店は全てふわふわの生クリーム。クラシックはジャムがルバーブで甘酸っぱいのが特徴。

定番=クラシック!

ヌガー&バニラ・クリームはヌガーのシートが底にひいてあり、その上に香のいいバニラクリーム生クリーム。ヌガーの味がよかったし、ほとんど甘さのない生クリームの中で甘いバニラも際立ってた。

下にはヌガー地が敷いてある

キャラメルは文字通りミルク・キャラメルが特徴で、こちらも甘さを抑えた生クリームと甘いミルキーなキャラメルのコンビネーションがよく、意外にも上にかかっていたグラニュ等が結構いい個性を出してた。

とろーりキャラメル入り

オムノムチョコレートのガナッシュを入れたものは、もっとチョコを入れてよと言いたいけれど、これだけはクロワッサン地を買っていて(シュー地が売り切れていたので)、クロワッサン地の塩気がオムノムとクリームにマッチしていて、これまた大変によかった。トップは焼きメレンゲ。

チョコは写真よりも入ってた

ファミリーお茶会(番外)
ファミリーお茶会にお呼ばれした。家庭によりどう提供するか、何を出すかはそれぞれ。このファミリーは真ん中から既に切ったシュー地の上にチョコを乗せたものを出し、後は自由にどうぞ、という方式。クリームはふわふわにホイップした生クリーム。ジャムは適当に買ってきたものや自家製やら。


家庭の味はどこも美味しく心温まる。既に真ん中は切ってあるので、シュー地を開いて自分で好きなジャムを塗り、クリームを挟める。これがいくらでも食べられる美味しさ!お口直しのフレッシュフルーツやクラッカーとチーズもあり、甘辛にもできる。日本でいえば、大福を食べながら煎餅をかじるような感覚?!

コーヒーや紅茶との相性も良すぎるので、食欲は底無しへ。シューは大量に焼いてあり、いくらでも出てくるので本当に食べ過ぎ注意だった。

以下は若干の蘊蓄なので、面倒であれば読み飛ばしてください。

ちなみに今週は日曜日のkonurdagur(女性の日)に始まり、月曜日がbolludagur、火曜日がsprengidagur(マルディグラ「肥沃な火曜日」のような日で、アイスランド語では炸裂の日という意味)で、塩漬けの羊肉と豆のスープをいただくのがこの日。水曜日はよく知られる「灰の日」であるoskudagur。この日は子供たちが仮装をして歌を歌い、お菓子を貰いに来る。
例えば私のパートナーが子供の頃は、bolludagurではハタキのようなもので(冗談で)お尻を叩いたとか、灰の日には本当に灰が入った小さな袋を人に(いたずらで)付けたりしたのだそうだけど、そのような風習はほとんど見られなくなった、とも。

そしてこの一連の特別な日は、木曜日の四旬節(受難節)へ。この記事を書くにあたり調べていくうちに、こういった行事がキリスト教関連の物事につながるということがわかった。同時に、四旬節というのはキリストが受けた受難を自らにも課すように、断食することも。
で、で、で〜ですよ、bolludagur(クリーム・パフの日)はキリスト教には無いようなので、これはもしや悔い改めることを強いられる時期(受難節)の前に、楽しく甘いものでもたっぷり食べようというアイスランド人の発明????と思ったら、以前アイスランドを支配下に置いていたノルウェーやデンマークからの伝来だとのこと。

2020年BolludagurのIKEAでは4万個のクリーム・パフを売り上げたとのこと。総人口37万人で、大人一人当たり数個は食べるので、たぶん総人口以上の数のクリーム・パフが消費されると思う。

たかがシュークリーム、されどシュークリーム。国民全体がこの日にしか食べられないクリーム・パフをゲットしようと躍起になる日で、社会全体にその空気が濃厚。この日以外ではクリームパフを食べてはいけないなどという決まりもないので、通年売り出せばいいのにねぇ。(それじゃお祭り騒ぎでなくなり面白さが半減するけど。)