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避けられなかった3月イベント中止、本当の理由

3月22日追記: 2月末に中止を決定した時はまだ、例えば311の時のような自粛の流れを社会の中に感じていただけだったため、以下のような思いがあった。が、刻一刻と変化する状況を目の当たりにし、その悲惨な状況に毎日心を痛めてる。改めて中止にして正解だったと思わざるを得ないし、私自身はそれでも帰国しようとしていたけれど、アイスランドに戻れなくなる可能性を考えてそれもギリギリで断念。とにかく、緊急事態が収束するまでは、人との接触を避け、今後どうするかを考える時間としたいと思っている。

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 3月末のイベント中止、本当に残念、そして無念です。

 この決断は社会情勢に流されたものではありません。

 今回の新型ウィルスは、まだ全貌が掴めていないものの、季節性のインフルエンザと変わりない対応をする以外に方法がない。季節性のインフルであれ、新型のコロナであれ、不運にも感染して症状が出たら、しっかり療養・治療をすればいいと私は思っています。アイスランドからの参加アーティストもそう思っていました。

 ではなぜ中止なのか?アイスランのアーティストと話し合った結果、それが安全・最善策だと結論づけたからです。一番大きくはアイスランド政府がウィルス対策として今後どのようなルールを提示してくるのか分からないためでもあります。

 で、別の話題になりますがーー

 アイスランドでは14歳で確認式を行う習慣があります。確認式とは大人になる儀式で、宗教儀式に端を発するものの、現在のそれは無宗教でもこの儀式を受けることができます。つまりは人生の重要な儀式。その後はパーティ会場を借り、家族、親戚、友人を招いての、かなり大掛かりな集いを行うのがしきたりです。

 今回アイスランドからのアーティストとして私が声をかけていたのが、たまたま14歳の娘を持つ母親であり、娘の確認式を4月初旬に予定していました。

 2020年2月28日現在、アイスランド政府は海外からの渡航制限は発令していないものの、発症や感染が顕著な危険地域を旅行した後の帰国に際し、14日間の自宅待機を要請しています。その旅行地を中国、北部イタリア、イラン、韓国に指定。日本は感染率が低いため要注意国としての指定。

 もしも日本が危険地域として14日間の自宅待機を要請される地域に指定されるとどうなるか?もちろんこれは強制ではなく要請であるため、無視することも可能でしょう。しかしそのような状況で老若男女の大勢が集まるパーティに顔を出す、それも主賓である娘の母親である彼女はどうすればいいのか。彼女の立場を考えると、日本へ行くことは再度考え直した方が良いのではないか?という話し合いがもたれました。

 彼女のそのことは気になっていたようで、「正直言ってそのことがストレスになっていた」と。そうであれば、今回のことはキャンセルするのが最善の策であろうと。

 イベントに関しては、とりあえず希望者だけ現場に集まり(つまりはイベントを実施して)、有料でストリーミング放送をすることも考えました。が、それはアーティストの来日が必要になるので無理。そしてアイスランドと日本を繋いでのライブも考えたけれど、去年別件でストリーミングライブを計画した時のリサーチから、自前でやるには機材が足りず、予算もないのでプロにお願いするのも現実的ではない。

 今回は10周年記念であり、念願だった日氷アーティストのコラボ曲の準備を進め、ステージで両国のアーティスト共演によるプレミア・リリースを予定していました。その他にも、例年通りアイスランド・エアウエイブス音楽フェスの紹介に加えて、メタル・フェスの特別編集動画もフェス主宰者からご提供いただいていました。トークではアイスランドの妖精信仰の研究者を招いての、音楽と妖精の関係を探る話題等、本当に、本当に盛り沢山で濃厚なアイスランド文化祭になる予定でした。

 出演者も参加者も本当にがっかりですよね。10周年は、前年までの9年間欠かさず参加した方が必ず10年間皆勤を目指してくださることも、地方からの参加者がいることも認識しています。既に航空券や新幹線を手配した方もいることでしょう。そんな計画も水の泡ですよね。

 このイベントは第一回目からソールド・アウトになり、アイスランドから音楽アーティストを呼ぶという初の試みをした去年も、有り難いことにソールド・アウトすることができました。そんな人気の高い名物イベントであるからこそ、10年目は気合を入れてコンテンツを練ってきました。ひとえにそれは、お客様の期待を裏切りたい、期待を上回りたい、アイスランドと日本の文化交流を次のステップに乗せたい、という私の思いでもあります。特に地方からのリピーター参加者は、イベントの後に顔馴染みと飲みに行くのも楽しみにしていましたよね。趣味で繋がるゆるく楽しいコミュニティを支えてきたのも、このイベントかと思います。

 おっと、途中から中止の理由ではなく私の思い入れを吐露することになりましたがーー

 そういう訳で、今回のイベントキャンセルは、密室でのイベントを控えよう社会の風潮に流されたつもりはありません。アーティストの個人的な事情とアイスランド政府の対応を考慮してのことでした。

 ご協力いただきました関係者の皆様、既にチケットをご購入のお客様、必ず参加すると決めていた方々etc 皆さん、本当に有難うございます。チケット購入者に返金する際、ひとりひとりのお名前を見て、噛み締め、涙しながらキャンセルボタンを押しました。

 今回は無念ですが、今後も必ずいい形でイベントは続けていきます。

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