2020年夏のアイスランド、国内旅行客のパイが観光業の鍵を握る

 アイスランドは外貨獲得7割を観光産業に頼る。観光客数の減少は著しく、それをどこまで挽回できるかが先行きの鍵になる。そしてアイスランドは6月半ば、観光客の受け入れを本格的に解禁。海外からの観光客の動向が気になるが、彼らにも事情があり、以前のような観光客数がすぐに戻るとは誰も考えていない。

 そして迫る夏の観光ハイシーズン。

 確保できる客として狙えるのは、海外に出ないアイスランド人であり、アイスランドの国内旅行需要の掘り起こしが重要だ。そのパイをどれだけ確保できるかが、ビジネスが存続できるかの分かれ道になる。

 我が家の場合は、今年はアイスランドを中心にサマーホリデイを過ごすことを以前から決めていた。去年、海外に出た回数が多く、延3ヶ月近くアイスランドを離れた私は、それが不満だった。なので、国内の需要を掘り起こすための策は大歓迎だ。

 政府も観光業をサポートする姿勢を早くから発表した。起爆剤にはならないまでも、18歳以上の住民に一律5000isk(4千円程度)を配ることにしている。その金額は観光施設、ツアー、レストラン、宿泊所等で使用することが可能。専用アプリを作り、ダウンロードさせ、それで管理をする予定だ。

 その策とは、ずばり価格だ。アイスランドの物価が高い事は否定できない。ほとんどの物資を輸入に頼っているため、ある程度は仕方がない。が、宿泊費に関しては強気で利益を乗せているのは以前から見えていた。そんな価格で宿泊する地元民は多くはない。需要を狙えるのは、いつもは海外に出ていたけれど、今年は夏のホリデーを国内旅行に切り替えた人々だ。その数は少なくない。案の定4月下旬にはSNSの中で国内旅行情報の交換グループが現れ、すぐに数万人の登録者を獲得した。

 どこのホテルがどのような価格を提示してくるのか?その情報を皆が待っていた5月半ば、規制の緩和が発表され始め、いち早く割引プランを発表したのが、アイスランドを代表するホテル・チェーンだった。ギフトカードとして、5泊から10泊をまとめて購入することで大きな割引を提示した。有名な観光地の近くで景色もいい場所に位置する一流ホテル。去年の相場が一泊3-5万iskだったところが、10泊の予約が必要とはいえ、一泊9900iskにまで下がった。
 日本からの観光客の宿泊は平均5-7日間だが、アイスランド人のバケーションは一ヶ月。そのうち2週間は旅行に当てるため、10泊を消化するのは難しくない。

 このホテル・チェーンが出した価格は多くの同業者の指針となった。価格設定に迷っていた小規模で設備の良いゲストハウスや個人経営のホテルが、この後を追った。こうなってくると、大した設備もサービスも付かないキャンプ場のコテージとたいして変わらない価格で、居心地のいい宿泊施設に泊まれる。もちろんアイスランド人は飛びついた。

 こういった特別価格は、ホテル・チェーンでは8月末から9月末までを使用期限とし、小規模ホテル・ゲストハウスでは6-7月限定としているところが多い。物事の状況によっては秋口まで延長することもあろう。また、特別価格はアイスランド語のページのみに提示されていたり、宿泊施設の個別のサイト経由でしか受け付けていないことも多い。booking.com等の大規模な予約システムを使うと安くならない。

 日本からの観光客がこの夏アイスランドにどれほど訪れるのか分からないが、既成のバス・ツアー等の割引もある。そういったところを上手に使えば、観光地が例年ほど込み合わないので、財布にもやさしくゆったりと楽しく過ごせることだろう。

 (具体的にどのホテルでどのような価格を提供しているかは、オンラインサロン内で情報共有中)