2019年アイスランド・エアウエイブス(2)音楽ツーリズム・シンポジウム雑感

 (前の記事)本題の前に前置きがもう少し続きます。今回は音楽ツーリズムの話題。興味ない人は以下は読まないで次の投稿へどうぞ。

 私は10年以上そんなことをやってきた。音楽ツーリズムという用語を知ったのはつい最近のことで、単に自分が音楽ファンであるため、きっと他の音楽ファンも同じように感じているだろうということを前提で内容を作ってきた。音楽関係でのツアーはアイスランドが初めてではなく、90年代後半に確か4度カーペンターズ関係のツアーをやっている。今年2019年はたまたまカーペンターズ・デビュー50周年に当たり、20年振りにカーペンターズのツアーも行った。

 2006年からアイスランド・エアウエイブスのツアーを開始し、様々な理由から去年で終了。毎年音楽ファンならここがツボだろうと思えるところをやってきたので、最後だからと特別に力を入れた訳ではないけれど、本当に充実したツアーだと自画自賛できる内容だった。なので、どのような角度からでもツアーの話はできる。

 私が今年音楽ツーリズムのシンポジウムに招待されたのは、レイキャビク市では一年前にミュージック・シティ構想が開始され、そのマネージャーに就任したのが、アウスゲイルを売り出した際のマネージャーのマリアで、数年前にアウスゲイルが拠点とするスタジオをツアーのお客様のために見学させてくれた人でもあったから。彼女は現職に着く前から私の活動を知っていた。

 数年前からアイスランド・エアウエイブスのプログラムに取り入れられてきたのが、音楽業界向けのイベント。フォーフラムやシンポジウムの類だ。去年のマリアの発表は統計を手堅くまとめての発表で、今年はそこに具体例が取り入れられた。つまりはそれが私だった。シンポジウムは二回に分けられ、前半はアイスランド・エアウエイブス開始前日に、後半はアイスランド・エアウエイブス期間中に行われた。前半の集まりで私はツアーの内容を具体的に発表し、アイスランド・エアウエイブスでのプロ・イベントではパネリストの一人となった。

Andri Snaer

有名作家のアンドリ・スナエルも参加。

 どーでもいいことだけど、英語で発表したり人前で話すのは大学生以来のことで、さすがにドキドキした。自分の発表は事前にある程度用意できたけれど、パネリストとして参列したディスカッションではその場での対応に迫られ、さすがにしどろもどろになる場面もあり、音楽ツーリズムに関しては普段からある程度答えを用意して、英語表現を考えておく必要性を感じた。ちゅーか、アイスランドに拠点を移して日常生活が英語になっても、少し込み入った物事になると日本語で考えちゃうのね、ということを認識。日本語で言いたいことが出てきてしまうので、頭の中で翻訳する必要があり、それはまさに英会話を習うごく初期に「英語で考えて英語で話しましょう」っていうそれじゃんと自分で突っ込み、しどろもどろになる始末。50年以上日本で生活をしていた身なので、許されたし。

Yuka Ogura making a presentation of her music tourism tour

記念すべき海外初スピーチとなった私のプレゼン。

 10名ほど発表者が居た中で、具体的な音楽ツーリズムの話は3名のみ。他はコンセプトや統計的な話など、抽象的な事柄が多く、そして具体的にツアーとしてのべ数百名を扱った例は私のみで、去年のツアー時の写真などもあり、とても楽しく興味深かったと評判が良くてよかった。

 統計によれば、アイスランドに来る観光客の半数が文化(音楽、映画、アート、デザイン等)に興味を持ったことがきっかけと答えているそうだ。複数選択なので、当然「自然」が一番の興味とはいえ、文化の中でも音楽が占める比重は高く、その動機をいかに生かすかが課題。そんな中、音楽関係で最も危惧されているのは、中小のライブ会場が足早に姿を消しつつあること。音楽ショップの数は変わらないとはいえ、経営に困難を感じている店がほとんどで、観光業を支えるためにも国内の音楽関係ビジネス、そして音楽アーティストをいかに行政が支援すべきかを考えようーー考えないと手遅れになる!という危機感を持っている。

 とりあえず音楽ツーリズムという観点から音楽産業を守ろうと行政が動いてくれているのはありがたい。私の話がどのような一石を投じたかはわからないが、とりあえずそのような具体例があったことを知ってもらえてよかったのかと思っている。(次回に続く)